shoryu51のウルトラマンレビュー

『ウルトラQ』から始まるウルトラシリーズのレビューを書いていくブログです。

「宇宙指令M774」 『ウルトラQ』制作第19話

「宇宙指令M774」
ウルトラQ』制作第19話
1966年5月22日放送(第21話)
脚本 上原正三
監督 満田かずほ
特技監督 的場徹

 

ルパーツ星人ゼミ
身長 160cm
体重 45kg
宇宙の平和を守る為に努力している宇宙人で地球防衛を使命としている。宇宙指令M774によりボスタングへの警告を地球人に呼びかけるが、地球人が自分の警告を信じないと判断すると宇宙船に乗ってルパーツ星から地球にやって来た。地球では一条貴世美と言う名前で中央図書館に勤めている。特徴的なサンダルを履いている。
使命を終えた後は地球人として地球で暮らす事となった。
ウルトラシリーズで初めて姿を現した宇宙人。宇宙船が登場するのもウルトラシリーズ初で、その他にも初めて地球人に味方した宇宙人や初めて地球に移住した宇宙人とウルトラシリーズにおける様々な第1号となっている。

 

キール星人
地球侵略の為にボスタングを地球に送り込んだ。劇中では姿は見せなかった。
ウルトラシリーズで初めて名前が出た侵略宇宙人。

 

宇宙エイ ボスタング
身長 50m
体重 1万t
キール星人が地球侵略を目的として送り込んだ怪獣。卵の状態で海に落下し、孵化すると周辺を航行する船を襲った。あらゆる音に反応し、音を頼りに襲撃する相手を探っていた。
上空を攻撃する能力を持っておらず、巡視船に誘い出されたところを戦闘機のミサイル攻撃を受けて倒された。
ウルトラシリーズで初めて○○をした」と言うのは特に無い。
製作中止になった「東京SOS」のクラプトンの操演用モデルが使われている。

 

「私の名はゼミ。ルパーツ星人です。地球人に警告します。地球に怪獣ボスタングが侵入しました。とても危険です」

 

上原正三さんのウルトラシリーズ脚本デビュー作。最初はクラプトンと言う怪獣が登場する「東京SOS」と言う話を書くもタイアップの関係でキャンセルになり、その代わりに書く事になったのが今回の話との事。

 

金城さんは「宇宙からの贈りもの」と「ガラダマ」で様々な謎を提示し、上原さんは今回の話でそれらの謎に答えを出している。宇宙人の存在はゼミで、宇宙人が怪獣を操っている事はボスタングで、地球人の知らない宇宙のルールは宇宙指令M774で、それぞれ明らかにされている。

 

使命によって地球の平和を守りに来るゼミの設定は上原さんがメインライターを務めた『帰ってきたウルトラマン』を思わせるところがある。因みに金城さんがメインライターを務めた『ウルトラマン』と『ウルトラセブン』ではウルトラマンウルトラセブンは偶然が重なって地球に留まる事となった。

 

今回の話は「ゼミの言葉を信じられるかどうか」と言う内容になっている。ゼミが警告を伝える相手に万城目達を選んだ理由は不明だが、万城目達は過去に何度か宇宙人関係の事件に関わっていたので他の人間に比べて宇宙人の存在を信じる可能性が高かったと思われる。ただし、そんな万城目達でさえゼミの言葉を信じるまでかなりの時間がかかってしまった。

 

ゼミは人形やジュークボックスを使って警告を繰り返すが、地球人が自分の言葉を信じないと知ると遂に自ら地球に降り立つ事を決める。その後、実際にボスタングと対峙するも特別な能力や装備を用意していなかったところを見るに、ルパーツ星人は他の星の人間に警告はするが、出来ればその星の人間の力で事態を解決してほしいと考えているようだ。

 

巡視船の船員が「皆はゼミの事を信用しすぎている」として、ことあるごとにゼミに意見を述べていたが、これは無理も無いと思う。実際にセスナを遠隔操作された万城目達はともかく、巡視船の船員達がゼミを信じる事が出来るだけの証拠は無かったわけだし、そもそもゼミの言葉が全て嘘で実はゼミ自身がキール星人だったと言う可能性もあったわけだし。(因みにゼミは音を発しなければボスタングは襲わないだろうと言っていたけれど実際はエンジンを停止させていた客船をボスタングは襲おうとしたのでゼミの発言が全て正しいと言うわけではない)

 

ボスタングは「宇宙エイ」と言う肩書きからも分かるようにエイをモデルにした怪獣なのだが、クライマックスで海中に潜むボスタングに対して船がエンジンを止めてじっと息を殺す場面を見るとサメの怪獣の方が合っていたように思える。(冒頭の客船の場面で一平が由利子に向かって「夜道はフカが出るから気を付けて」とからかうが、ここでのフカをサメの事だとすると後のボスタング登場の伏線に出来たかもしれない)

 

甘い蜜の恐怖」に続いて一平の操縦訓練が描かれている。これまでに比べて飛行が安定してきたらしい。

 

事件が解決した後、ゼミはこれから自分は地球人として地球で暮らしていくと語り、自分以外にも地球には昔からたくさんの宇宙人が住み着いている事を明かす。「地球を守ってくれる存在が自分達の周りにいた」となれば良い話に聞こえるが、実際は「自分達の周りに自分達とは違う星の人間がいた」と少し怖い感じに演出されている。この自分達とは違う存在に対するちょっとした怖さは後の『ウルトラセブン』を思わせるところがある。

 

「あなたの隣の方、その人も宇宙人かもしれませんよ?」

 

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